市民のためのがん治療の会はがん患者さん個人にとって、
  最適ながん治療を考えようという団体です。セカンドオピニオンを受け付けております。
   放射線治療などの切らずに治すがん治療の情報も含め、
  個人にとって最適ながん治療を考えようという気持ちの現れです。
市民のためのがん治療の会
やればできる!自治体のユニークがん対策
『豊島区のがん対策
〜豊島区がん対策基金条例、豊島区先進医療費利子補給事業を中心に〜』
豊島区長 高野 之夫
がん対策は平成19年4月1日「がん対策基本法」が施行され、同報のアクションプランである「がん対策推進基本計画」は同法に基づき政府が策定するものであり、平成19年6月に策定され、この基本計画に基づきがん対策が進めら れてきた。今回、前基本計画の策定から5年が経過し、新たな課題も明らかになっていることから見直しを行い、新たに平成24年度から平成28年度までの5年間を対象としての計画が策定された。
だが、誤解を恐れずに言えば、実情は実際の取り組みについて国は都道府県に丸投げした形であり、都道府県はさらに区市町村に丸投げするという図式は、前基本計画と変わっていないと言えるのではないだろうか。
結局、ここにも東日本復興計画同様、権限と予算を区市町村に委ね、地域の実情が分かっている区市町村の首長などを中心に検討することが一番良いと思われるが、そのようになっていない。多くの自治体では権限も予算もなく切歯扼腕しておられる。
しかしこのような条件はgivenの条件であり全国同じ条件であるにもかかわらず、いくつかの自治体ではユニークな取り組みを「実際に」行っておられる。 ご無礼ではあるがあえて申し上げれば、これらの自治体は特段財政的に恵まれているわけでもない場合が多い。
にもかかわらずこうした取り組みができるということは、優れて首長の強い問題意識と将来を見通す力、そしてリーダシップによることが大きいと思われる。
今回はその一つである東京・豊島区の高野之夫区長にその取り組みについて報告していただいた。
患者会はこのような取り組みについての努力をもっと顕彰すべきである。(會田)
 2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡するという時代、まさにがんは区民の生命、健康を脅かす重大な脅威となっています。
 豊島区は平成21年9月に、がん対策を区政の最重要課題に位置づけるとともに、庁内に、「がん対策推進本部」を立ち上げ、区長である私が自ら本部長として陣頭指揮をとる形で、がん対策に取り組む体制を整備しました。これに合わせ、区に提言を行う専門的な検討の場として、学識経験者、医療関係者、区民等で構成する「がん対策推進会議」を設置し、綿密な検討を経て、平成23年4月には、都内初となる「がん対策推進条例」と「がん対策基金条例」を施行するなど、区を挙げてがん対策を推進してきました。
 がん対策推進計画では、「がんの予防・普及啓発」、「がん検診の推進」、「がん患者と家族の支援」を大きな柱とし、区民が安心して暮らせるしくみづくりを目指して様々な取り組みを進めています。特に、早期発見、早期治療のためには、がん検診の受診率向上が重要であることから、勧奨、再勧奨を実施する健診を順次拡大してきました。また、受診しやすい環境整備のために、昨年4月からすべてのがん検診を無料化するとともに、今年4月からは胃がん肺がんの受付方法の改善を行いました。  がん対策基金条例は、がん対策の財源を確保するために、がん検診や予防施策、普及啓発の施策に要する経費の積み立てや寄付の受け皿となる豊島区がん対策基金を設置するものです。   区では、毎年、がん対策チャリティコンサートを開催しているほか、普及啓発のイベント、講演会等様々な機会をとらえて職員が募金箱を持ち、寄付をお願いするなど、基金の確保に努めています。
 また、本区は、全国で初めて小中学校の授業に「がん教育」を導入するなど、子どもたちの将来を見据えたきめ細かいがん予防対策に取り組んでいます。
 こうした様々な取り組みにより、5年前の平成20年度には5.4%だった受診率は、平成24年度、16.5%まで上昇しました。
 しかし、裏を返せば検診を受けていない人がまだ8割以上いるということであり、受診率向上のための取り組みの強化をしていく必要性を強く感じています。
 今後は高齢者の増加に伴い、ますますがん患者の数が増えることから、こうした方々や家族の支援が今後大きな課題になります。
 そこで、昨年10月がん患者など在宅医療を希望する方々の相談を受けるとともに、情報提供や在宅医療に必要な医療・介護スタッフの確保などを行う豊島区在宅医療相談窓口を豊島区医師会館6階に開設しました。通院できなくなった方への在宅医療スタッフのコーディネートやターミナルケアの支援など寄せられる多くの相談に経験豊富な2名のソーシャルワーカーがきめ細かく対応しています。
 さらに、がん患者支援の一環として今年6月、都内初となる先進医療費利子補給事業をスタートしました。
 この制度は、がん患者が先進医療を受けやすい環境を整備することにより、区民のがん治療の選択肢を増やすことを目的としています。
 先進医療は、厚生労働省が先進的な医療技術として指定するものですが、保険がきかないため、重粒子線治療や陽子線治療などの場合は、200万から300万円前後の費用が必要になります。
 そこで、こうしたがん患者や家族の負担を少しでも軽減するために巣鴨信用金庫、東京信用金庫のご協力をいただき事業の実施に至りました。
 対象は、区内在住1年以上で、住民税の滞納がなく、世帯全員の課税所得の合計は700万円以下、がんの先進医療を受ける予定の方です。融資額は300万円以内、金利は1.75%で利子補給期間は最大で8年間となっています。
 この事業が、先進医療を希望する区民の方々のがん治療の支えとなることを願うとともに、一人でも多くの方に利用していただくことを期待しています。
 どの時代にあっても、健康で、心豊かに暮らすことはすべての人の願いです。
 豊島区は、私たちの生命、健康を脅かす、重大な脅威となっている「がん」に正面から向き合い、がんによって命を亡くす方をお一人でも減らすために、区を挙げてがん対策に取り組んでまいります。
 豊島区の取り組みが、市民のためのがん治療の会の皆様の活動に少しでも寄与することを期待いたします。



略歴
高野 之夫(たかの ゆきお)

昭和12年12月25日生 豊島区に生まれ。
豊島区立池袋第五小学校、立教大学経済学部経済学科卒業後、
昭和58年5月〜平成元年6月まで豊島区議会議員、
平成元年7月〜平成11年3月まで東京都都議会議員。
平成11年4月豊島区長に就任、現職。

・趣味 絵画(クレヨン水彩) 読書 スポーツ観戦
・愛読書 歴史物
・好きな食べ物 豆腐(1日1回は食べます)
・血液型 AB型
・座右の銘 頭は低く 目は高く 心は広く 身は軽く
・信条 元気 やる気 勇気 笑顔
・信条 夢を持とう!それが未来を切り拓く
・健康法 歩くこと
・私はこんな人物です 商人の家庭に育ち、街を愛し、
人を愛し、いつも区民の目線で考え、行動する。


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