市民のためのがん治療の会はがん患者さん個人にとって、
  最適ながん治療を考えようという団体です。セカンドオピニオンを受け付けております。
   放射線治療などの切らずに治すがん治療の情報も含め、
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市民のためのがん治療の会
大切な人に、大切なことを、大切だと伝えよう
『子宮頸がん予防を学生の視点から』

女子大生リボンムーブメント
慶應義塾大学 生井 茜
RM(女子大生リボンムーブメント)は、女子大生ががん予防についての普及啓発という社会貢献活動を行っている団体だ。今年5月11日(日)には目白大学短期大学部で、「いのちのコール〜ミセスインガ〜を知っていますか」の特別試写会で出張授業を行うなど、活発な活動を行っている。
がんの好発年齢は70歳以上と言われるように、がんは一般的には老人病ともいえようが、子宮頸がんという若年女性に多発しているがんを捉えて自分たちの問題として取り組む活動は、学生時代の社会貢献活動としても有意義なものだ。
今回はそのリーダの一人、慶應義塾大学4年の生井 茜さんにその活動についてご寄稿いただいた。(會田 昭一郎)
 20代〜30代の若い女性の中で罹患者が増えているがんがあることをご存知だろうか。
近年、若い女性に子宮頸がんが増加していると言われている。 先進諸外国では、がんの予防は日常化しているが、日本ではまだまだ検診率低迷など、がんの予防医療に対する姿勢があまりないのが現状である。
特に子宮頸がんは若い世代で罹患者が多く、当事者意識が低いために予防行動に結びつきにくいと考えられている。
若い世代でもかかるがんがあり、予防できることをもっと世間に広めていこうと声を上げ2009年に立ちあがったのが、私たち「女子大生リボンムーブメント」である。

 「大切なことを、大切な人に、大切だと伝えよう」というコンセプトのもとで私たちは活動をしている。
活動軸は主に三つある。一つ目が同世代へ伝える活動、二つ目が次世代へ伝える活動、そして三つ目が意識調査である。
 一つ目に、大学生から大学生世代へ派生する予防行動促進活動を行っている。同じ世代の私たちが率先して予防行動を行い、現状を伝え続けることで同じ世代を鼓舞することができると考える。具体的には年に一度大学の講義室を舞台にして産婦人科の先生や専門家の方を呼んで子宮頸がん講座を行ったり、大学で私たちが講師となって授業を行ったり、自治体の方々と連携をして子宮頸がん検診クーポンに手書きの手紙を添付することによって検診率向上活動を行っている。
 二つ目に、同世代だけでなく次世代を担う中高生にも子宮頸がんの知識を普及させる活動を行っている。中高生に対して私たちがお姉さん世代の先生となり、ワークショップやグループワークを中心としたアクティブな授業を行っている。 神奈川県立高校をモデルとして授業をデザインし、ターゲットとなる学校の生徒の雰囲気に合った授業を心掛けている。内容は、スライドを使用した子宮頸がんの基礎知識講座、ワークショップの形式で「友だちに検診を勧める時に、なんて言葉をかけますか?」という問いでお互いの回答を発表し合うなどである。
 三つ目に、意識調査である。これは私たちの活動の要で、よりターゲットのニーズにあった活動をするためのリソースとなる。2010年〜2012年にかけて毎年、首都圏在住の女子大生約2000名を対象として、子宮頸がんの認知度や子宮頸がんの知識を知った情報源、検診率、検診に行ったきっかけなど、子宮頸がんに関することを網羅して聞くことにより女子大生の本音を聞くことが目的である。
 私たちの活動は以上三つの軸により展開している。このような活動が全国の大学生の意識を高め、2012年度から今までに全国六大都市に新たな「女子大生リボンムーブメント」が立ち上げられた。
 「学生だからできること」をテーマとして、私たちが集まって全国に予防行動のムーブメントを起こし、それぞれが描いている輝く未来を実現させることが私たちの想いである。
 そこが聞きたい
Q 確かに欧米特にアメリカなどでは、がんの予防に熱心ですね。ずいぶん前から“Prevent Cancer Now” などというキャンペーンも展開されていますね。

A 一般市民が主体となってキャンペーンを行うことは、自らも主体となります。当事者意識を持つことは、予防行動を促進するためには非常に良いプロモーションだと考えます。私たちも、prevent cancer now のように、市民全体を巻き込んだムーブメントを起こしたいという想いで活動しています。大学生から派生して、日本全体にがん予防、ひいては予防医療の旋風が巻き起こることを期待しています。

Q 検診率が低いのは、どうしても内診に抵抗があるのは男でも分かりますし、未婚の方はなおさらだと思います。そういう点でも「お姉さん」のような方々からアドバイスがえら得るのは、医師や看護師、保健師と言った方々からのアドバイスとは、また一味違ったいいアドバイスだと思いますね。

A ありがとうございます。私たちは、自らが検診を体験して体験談を発信していくことも私たちにしかできない重要な役割だと感じています。私も検診に行く前は、内診台に抵抗がありました。恥ずかしいと思う気持ちは、非常によく分かります。実際に受けた私の感想としては、「なんだ、こんなもんかぁ。」という感じでした。先生も慣れていらっしゃいますし、事前に病院に問い合わせてどんな検査をするのかを聞いてみるのもいいと思います。そして、スカートを履いていくと本当に検査は受けやすいです。

Q 学校などでの講座などは良いことですね、プレゼンの体験としても良いことではないでしょうか。でも、よくお堅い県立高校が協力してくれますね。

A 私たちの広報の仕方の大きな軸として、「インターネットを使った配信」があります。リボンムーブメントではtwitterやfacebook、HPを通して情報発信をしています。県立高校のモデルでは、そうした発信をご覧になった先生方からのアクセスでつながり、授業をさせていただくことになりました。
学生が学校以外のコミュニティでプレゼンをする機会はあまりないので、確かに学校でのプレゼンの機会は非常に貴重で有意義だと思います。

Q ところでどういうことが切っ掛けでRMに参加するようになったんでしょうか。

A 私はもともと祖父の死をきっかけに医師を目指していました。しかし、17歳で医学部受験に失敗し、慶應大学に入学しました。そこでもう一度、医療に関係したことを勉強したい!と考え、大学でも医療を専攻しようと決めました。18歳の時、当時代表だった大学の先輩に憧れてリボンムーブメントに入りました。女子大生のうちにしかできないことだと思ったので、長いようで短い4年間で自分のできることを最大限実現するためにも、参加しよう!と決めたのです。

Q RMへの後輩などのリクルートも大事ですね。

A リクルーティングはリボンムーブメント継続のためには欠かせない活動です。私は、大学でも活動していることを発信し続けています。他のメンバーも新歓時期だけではなく常に、リクルーティングと啓発活動を通じてリボンムーブメントの活動の重要性を伝え続けています。

Q 今回は忙しい中、ご寄稿いただきありがとうございました。大学の勉強と並行してこうした社会貢献をこれからも続けてください。後輩のリクルートも宜しくお願いします。
また、婦人科癌ですが、男性も「関係ない」では済まない問題ですので、RMにも男子学生も関与するのもいいかもしれませんね。


A 男子学生も少数ですが参加しています。今参加している男子学生の中には、神奈川県立高校での授業を通じてリボンムーブメントの活動に興味を持ってくれて、大学生になってから大学生リボンムーブメントとして参加してくれた子もいます。彼ら男子学生は、「男性だからこそ伝えられること」、「男性も関係があるということ」を伝えたいという想いで、彼ら独自の目線から様々なことを提案してくれます。
女性の私たちには新鮮なことが多く刺激になりますし、新しいことを常に発信し続けることで対象の学生たちにも楽しめる活動が展開できていると思います。

Q 私たちも前立腺がんの講演会をやるとおじさんばっかり、乳がんや子宮頸がんなどの講演会をやるとご婦人ばかりが参加されますが、本来、パートナーにとっても重大な関係のある問題ですから、ご一緒に参加してほしいといつも思います。

A 私もそう思います。リボンムーブメントで会議をしている際に出た案としては、パートナーときたら何かプレゼントを渡す、などがありました。取っ掛かりとしては何かインセンティブを付けてパートナーで来てもらうことも有りかと思います。

略歴
生井 茜(なまい あかね)

私立常総学院高校卒業後、慶應義塾大学環境情報学部に入学、ヘルスコミュニケーションを研究する。 2013年度EUROGINにて研究発表を行う等、学会等での発表と並行して女子大生リボンムーブメントとして子宮頸がん予防啓発活動を行う。


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