市民のためのがん治療の会
市民のためのがん治療の会
がん患者会としては会員の患者や家族が直面しているがんの診断や治療に関する正しい情報を提供することが第一だ。だが、こうした地に足のついた地道な活動に基づいた政策提言も大事だ。

『患者会活動としての政策提言(1)』


市民のためのがん治療の会代表協力医
北海道地方がんセンター 院長  西尾 正道
 高齢化率世界一の日本は死因の約3分の一は悪性新生物(がん)であり、がん対策は日本の医療における最大の課題となっている。また世界保健機関(WHO: World Health Organization)もがんが2010年に世界全体の死因の第一位となると報告している。まさに世界的に「がんの時代」を迎えている。特に日本は 団塊の世代が高齢化する2015年にはがん罹患者は89万人となり、その後も2050年まで横這いで推移すると予測されている。この事態ががん医療の「2015年問題」である。

 こうした時代に対応すべく、国は2006年に「がん対策基本法」を成立させて総合的ながん対策に乗り出し、がん医療の改善と充実を図っている。そして具体的な指針として2007月6月に「がん対策推進基本計画」を閣議決定し、各都道府県に「がん対策推進基本計画」の作成を義務付けた。

 しかし日本の行政は誰かが犠牲になり社会的に問題とされなければ腰を上げない典型的な墓石行政であり、具体的ながん対策の予算措置も各都道府県に丸投げしているため都道府県の財政状態やがん対策への熱意によって大きな格差があり、「絵に描いた餅」的な都道府県も見受けられる。

 しかし毎日、生死をかけてがんと闘っている患者はお上の施策にだけ頼るのではなく、市民の立場でがん医療の改善に努力する姿勢も必要である。

 こうした現況の中で、当会はがん医療の改善に向けて活動している。当会の理念と目的は、患者さんががんの診断や治療に関する正しい情報を、「安く・早く・簡単」に入手し、納得のいくがんの治療を受けることができることである。今後も、①良質な情報をもとに最良のがん治療の選択ができること、②ベストな治療を受けられず無念の死に至る人を減らすこと、③死を免れなかったとしても残された月日を自分らしく有意義に送れるような支援ができることである。

 当会は発足以来、セカンドオピニオンとしての相談の受け付け、年数回の全国各地での講演会開催、年4回の会報発刊(3万部印刷)、書籍やDVDの頒布を通じた医療情報の提供、政策提言、などの活動を行ってきた。そして5周年を機会に2009年9月16日よりホームページ上で、シリーズ『がん治療の今』と題して貴重な情報を毎週掲載している。この掲載原稿は当会の多くの協力医ばかりではなく、医学以外の領域でその道のトップレベルの人々から快く玉稿を寄せて頂いている。原稿を寄せられた諸兄には心から感謝したい。

 本稿では当会が活動の一つとして行っている行政への要望や政策提言について2回に分けて報告する。 がん医療の改善は医療情報の提供だけではなく、同時に社会全体の視点から医療システムの改善も必要である。幾つかの政党との懇談会や厚労省関係の協議会で會田会長を中心に意見陳述も行っているが、厚労省に出向いて今まで行ってきた主な政策提言としては、

* 平成16年5月24日 河村文科相に医学教育についての要望書提出
* 平成17年4月21日 尾辻厚労相に医学教育等についての要望書提出
* 平成17年6月16日 民主党がん対策議員懇談会で意見陳述
* 平成17年10月28日 公明党がん対策議員懇談会で意見陳述
* 平成18年4月28日 安倍官房長官に放射線治療の充実についての 署名簿提出
* 平成18年12月13日 「第2回がん対策の推進に関する意見交換会」 (厚労省)で意見陳述



が上げられる。これらの一連の提言は、がん治療の中で最も有効に使われていない日本の放射線治療の整備・充実に関する事項である。具体的には、

① 遅れている放射線治療医の育成のために、医学部教育の場で放射線診断学と放射線治療学の講座の分離・独立の提言である。これは約80か所ある医学部の放射線科で講座が診断学と治療学が独立しているのは12施設であり、多くの放射線科の教授は診断学を専門としているため、治療医の育成がままならず、今後急増する放射線治療患者に対応できない心配がある。

② 医学物理士の雇用の義務化の提言。放射線治療は高精度化しており欧米諸国にならって医学物理士による放射線治療の精度管理が必要である。放射線医療事故の防止という医療安全の観点からも必要な職種なのである。

③ 「がん診療連携拠点病院」では放射線治療ができることを必須条件とする要望である。当初はこの条件はなく、放射線治療の機器を保有せず治療できない施設も「がん診療連携拠点病院」として指定されていたが、3年間の猶予期間を設けて、2010年4月からは放射線治療ができることが必要条件として組み入れられた。しかし放射線治療機器を整備したが、実態は放射線治療専門医が常勤しているのは約半数の施設しかなく、放射線治療の医療の質が次の課題として残されている。

また
* 平成20年10月3日には「日本がん楽会」の中原武志会長、内山眞幸東京慈恵会医科大学准教授と共に舛添厚労大臣に対してストロンチウム(Sr-89)製剤についての要望書を提出した。


実際には渡部厚労副大臣はじめ数人の国会議員も立ち会って頂き要望に理解を示して頂いた(写真)。


左から内山准教授、中原会長、會田代表、渡辺厚労副大臣、風間昶参議院議員、
山本博司参議院議員、古屋範子参議院議員(職責等は要請当時)


 Sr-89製剤である「メタストロン(注)」は転移した骨に集積してβ線を出して鎮痛効果を示す放射性医薬品であり、平成19年10月より日本でも使用が可能となった(本薬剤に関しては、本シリーズ第32回内田伸恵掲載記事および 第48回吉村真奈掲載記を参照)。多発性骨転移の治療としては有用な薬剤であるが、使用に当たっては放射線安全管理上の知識だけでなく、放射能測定や静注のための分注装置などの周辺機器の初期設備投資が必要である。しかし、診療報酬上は薬剤としての扱いのみであり、施設としては赤字となるような事態を改善する必要があった。緩和ケアの充実には必要な薬剤の一つであることから、本年4月からは放射線安全管理料として17,000円の診療報酬が認められた。ただ、DPC(包括評価制度=定額支払い)の施設では、32万円の薬剤は高額であり、DPCから除外することが今後の課題として残っている。


最近の提言としては、
* 平成21年12月10日には長妻厚生労働大臣に対して「子宮頚がんワクチンの10~14歳女児に対する定期接種に関する要望書」を提出した。


 昨年(2009)10月に正式承認されたのを機に、公費(無料)で校医が接種する方向での対応と、当該ワクチンの保険収載を強く要望した。効果が高く、将来的には子宮頸がん罹患者数の激減と医療費の削減につながることから、ワクチン接種は最終的には対費用効果比は高い対策となる。特に妊娠出産が可能な若年女性の罹患が増えてきていることから少子化対策にもなるのである。予算的な問題で大きな課題は残るが、これは国民の税金をどこに投入するかの、政治的な決断である。しかし医学的な根拠が明確であったとしても、この予防治療だけ全額無料と言うのでは他の予防治療との兼ね合いからみればバランスが取れない。そのため当会としては、ワクチン接種を保険収載とし普及すべきであると考え要望した。私はこのワクチン接種普及の具体的な方法として、以下のように考えている。

① 中学1年生の女子(12~13歳)に校医が出向いて学校で3回接種する。そし て中学1年生を対象に毎年続ける。料金に関しては仮に7割は国庫からの補助とし、地方自治体が3割負担することにより、本人は無料とする。(国と地方自治体との負担割合は今後の話し合いで決める)ワクチン接種への補助は良質な子供手当と考えるべきである。そして今後も恒久的に中学1年時に接種を続ける。

(話は逸れるが、私は子供手当の給付方法として、親の所得と関係なく現金でばらまかれているが、家庭によっては親の酒代やローンの返済に使われる可能性がある。このような方法ではなく、確実に子供に公平に還元される給付方法としては給食費や補助教材費を無料にするような現物給付方法がとられるべきであると考えている。現在の現金給付は全くナンセンスであり、教育現場を知らない人達の人気取り政策でしかない。)

②現在中学2年生以上の接種に関しては、できれば保険診療として自己負担分3割を支払って接種することが望まれる。これにより、20歳の方でも、中年の方でも接種する人は増え、広い年齢層に予防効果が期待できる。

 現在の医療保険は疾患の治療にのみ適応されており、インフルエンザワクチンなどの予防医療は医療保険外で自費となっている。したがって当然、診療報酬の支払い側からは反対意見が出そうであるが、眼先の損得ではなく予防医学をどうするかという大局的な視点での議論が望まれる。今後は医学的に確かな予防医学も保険収載するという発想の転換も検討すべきであろう。

 もし保険診療としての収載が無理であれば、何がしかの国からの補助が検討されるべきであろう。複数の市町村単位の基礎自治体において子宮頸がんの予防ワクチンの公費による補助が報道されているが、地域による格差を生まないためにも政府の早急な対応が望まれる。

 8月末に厚労省は来年度予算の特別枠に、子宮頸がん予防ワクチン公費助成費用として、150億円の概算要求を出した。しかしこのワクチン接種の費用は毎年必要となる支出であるが、今回限りなのか、恒久的に続けて支援するのかなどは全く見えてこない。がん対策の時流の中で、患者会やがん医療に携わる関係者からの強い要望があったからと言って、このワクチンだけを特別扱いとすることはバランスが取れない。さしあたって今回どう対応するかは別として、私は近年の鳥や豚インフルエンザ騒動に見られるようなパンデミックの事態への対応を考えれば、これを機会に予防医療やワクチンどう位置付け、どう対応するかを国家的レベルで考えるべきであると考えている。医学的なデータの検討と対費用効果比を考慮した包括的な議論により、必要なら予防接種法の法律改正まで視野に入れた「予防医学元年」としてもらいたいと思っている。

 もちろん毎年流行する冬季のインフルエンザやHibワクチンや肺炎球菌ワクチンなども含めた話としての対応である。財政的にも野放しにするのか、保険診療とするのか、その都度に補助金で対応するのか、なども議論すべきなのである。

  今回のワクチン接種の補助に関しても、単に要望が強いからとか人気取りではなく、現在20%前後しか普及していない子宮がん検診率の向上対策も含めて、検診と予防ワクチンの費用対効果分析を行い効率的で公平な対応が求められる。


次回は、直近の提言として行った、生命保険の不払い問題の是正について報告する。


そこが聞きたい
Qがん患者会の機能としてはオーソドックスにわけると予防検診、治療、緩和・精神的サポートの三つに分けられますが、市民のためのがん治療の会は治療に重点を置いて活動しています。こういう機能とは別に目的達成手段として政策提言に取り組むということがあります。

それぞれの患者会の理念によりますが、市民のためのがん治療の会はやはり会員である患者や家族のみなさんと常に共にあるということを大事にしており、盆も正月も土日もなく毎日のように寄せられるセカンドオピニオン対応などをPriority No.1で行っております。めったにないことですがセカンドオピニオン申込書の授受がうまく行かずに結果的にセカンドオピニオン回答が遅れたようなときには、西尾先生から「他のことに気を取られてセカンドオピニオン情報処理がおろそかになってはいけない」と厳しいお叱りを受けることがあるくらいです。

がん患者対策基本法成立前後に活動した患者会の中には、「そういう日常的なことも大事だけれど、大きな枠組みのことを考えないと」と言っている人もいました。

私は、両方とも重要で、いわば車の両輪だと思いますが、やはり制度的な要求なども、日常業務などを通じて、患者や家族といつも同じ立場で考え、悩むという実態を踏まえて行わなければ着実な提言にならないのではないかと思います。

これは国民生活センターが、相談業務で直接国民の声を聞きながら政策提言を行うというやり方に似ています。現場と乖離してはよくないと思います。

ただ、日常活動で把握した問題点を「困った、困った」と言っているだけではダメで、実態を踏まえて政策提言することも大変重要ですので、日常活動第一、その実態を踏まえて必要な場合は政策提言という今のやり方を継続したいと思います。


A 全く同感です。私は学生時代に読んだ『認識論と実践論』を思い出しますが、実践を通じて認識が深まり変わるものです。そして『真実は現場にあり』です。最も大事なのは、日々の現場での地道な患者さんへの支援です。

Q実は最近、かなり医療事情を良く理解している会員の人から、「本当にもうじき日本では放射線治療がまともに受けられなくなる」と真剣に訴えられました。西尾先生は本稿で「日本の行政は誰かが犠牲になり社会的に問題とされなければ腰を上げない典型的な墓石行政」とおつしゃってますが正にその通りで、団塊の世代ががん年齢になる2015年に、一体放射線治療環境はどうなっているのか、ぞっとします。医師の育成には医育6年+臨床経験4年として一口に10年かかります。ですから当会でも設立当初の2005年から、「今すぐ初めてもようやく2015年に滑り込みセーフだから、直ちにお願いします」と文科相などに要請してきました。

A 現場の実情をよく理解していない人達が多く関わっていますので、歩みは遅いと思います。日本は机上医療行政ですから。

Q 医学物理士の問題もそうですね。これはある面では医療現場の労働問題でもありますが、患者にとっては、IT技術革新の最先端の放射線治療機器は、今や物理の専門家がいないと医療行為の品質保証が担保できなくなっているのに、極めて日本的ですが医師や技師さんなどががばってなんとか取り繕っているという劣悪な労働環境下で、危険にさらされている。それが現実の問題になってしまったのが2003年の弘前大学での放射線の過剰照射事件でした。
ですから、いわば患者が患者自身の身を守るという見地からも、強く要求しています。日本という国はこういうことは制度的に、つまり法律で要員を配置することを定めないと守らないんですよね。


A色々な法律も不備ですが、これはその時代においては、それで良かったのだと思います。しかし問題は、変化する時代に迅速に対応した法律改正やシステム構築ができないことだと思います。慣習や前例主義、そして既得権益もからんでいます。これだけ高額で複雑化した医療機器を買っておいてメンテナンスにお金を掛けないというバカげた話です。医学物理士の雇用もなく行われている放射線治療は、整備士を雇用しないで飛行機を飛ばしているようなものです。しかし法律だけでも放射線の安全確保や精度管理はできません。性善説に立つお人好しの日本人は放射線の規制に関する法律は、世界一厳格で必要以上の規制が行われております。法律で縛れば守ってくれるので、安全を確保できるという姿勢です。しかし多くの先進国では法律による規制は緩やかですが、専門職を雇用して安全確保に努めています。実体のない『法律の条文』だけで安全を確保しようとする日本とは異なり、諸外国は『人』で安全や精度を担保しています。日本に欠けているのは時代に対応した法律の改正も含めたシステム再構築と、現場を司る『人』なのです。同様に電子カルテが普及して毎日の診療には不可欠のものとなっていますが、SEの専門職種を雇用している病院は少ないと思います。

Qがん診療連携拠点病院の問題もそうです。患者会ではいわゆるがん医療の均てん化を求めたわけですが、一応がん診療連携拠点病院というのができたので、ここに行けば標準治療は受けられるというのかと思ったらどっこいそうはいかないということで、これでは「不当表示だ」とある会議で注文をつけました。そうしたら病院の人たちから、「一生懸命やっているのに水をかけるようなことを言うな」「そんなら看板を返上する」と言って何施設かはがん診療連携拠点病院指定を返上しました。普通の考えでは、「良く言ってくれました、実は指定はされても財政措置が不十分で困っているんです。患者さんたちと一緒に要求したいので応援してください」ということになりますが、普通の考え方と違う役所や政界の考え方について、良く、霞が関の論理とか永田町の論理だとか言って揶揄しますが、病院関係者の反応は全く分からない反応でした。

A 「がん診療連携拠点病院」の指定はまず、指定を受けたい病院が都道府県に申請し、都道府県も認めた段階で厚労省の審査を経てから指定される仕組みです。当初はがん治療が充実していなくともステータスとして指定を受けたい病院もあったと思いますが、2010年4月からは放射線治療ができることが必要条件の一つとなりましたので、辞退した病院もあったわけです。しかしこの病院はむしろ正直で見識のある施設であると思います。年間100人程度の放射線治療患者さんのために数億円の設備投資をしても到底黒字にはならず、病院の経営を圧迫します。それにより他の診療科の医療の質も確保できなくなる可能性もあります。また地域によっては高額な放射線治療機器を導入しても放射線治療医の雇用の目途も立ちません。連携を密にして解決する方法もあります。  皆さんに認識して頂きたいことは、「がん診療連携拠点病院」の指定を受けた病院だけが良いのではありません。放射線治療は4月以降、「がん診療連携拠点病院」全ての病院で可能となりましたが、治療専門医が常勤している施設は約半数です。放射線治療だけではなく「がん診療連携拠点病院」でも診療科によっては低レベルな医療もあります。どこにでも「偽装がん医療」はあります。また「がん診療連携拠点病院」以外の病院でも途轍もなく高レベルな診療科やがん治療のプロフェッショナルな医師がおります。がんを治すのは、看板や肩書ではなく、最後は『人』なのです。

Q放射線治療の緩和医療への利用も本当にもっと進めば良いと思いますが、それに加えてストロンチウム89については痛みに苦しむ患者にとって本当に朗報ですね。そもそも痛みに対する考え方が医療側には甘いと思います。

A 以前と比較してかなり痛みのコントロールは上手になっていると思います。放射線治療装置がなく、Sr-89注射の使用届出をしていない施設ではどうしても鎮痛剤による薬物療法が中心となります。病院間の連携を密にして適応であれば、放射線治療による除痛治療も上手に利用して頂きたいと思います。

Q去年の10月に子宮頸がんワクチンが認可されましたので、これについての政策提言も積極的に行いました。国立市議会も衆参両院議長はじめ国会、政府に対しても要請文を提出しました。
こうした活動について「がん治療の今」でも何度も取り上げました。
ところが名前は名乗りませんがどこからか「子宮頸がんワクチンには問題がある。今後一切子宮頸がんワクチン接種の推進についての活動をやめるように」という文書がきました。

A どの世界にも反対意見の人や変わった人がいます。身元も明らかにしていないアンフェアな人には反論しても仕方がありません。

Q何回かこの件で長妻大臣のところにも伺いましたが、そこでの要求の仕方は、全額公費負担で、というばかりです。900兆円も借金のある国が、11-14歳までの女児に一斉に接種すると、1千億円ぐらいかかるので、出せる訳が無い。ですから本当は予防接種法などで接種できるようにすればいいのでしょうが、経過措置として、保険収載すれば財政的な問題もとりあえずは解決するというように、具体的な対案を出してゆくというやり方を取っています。これからの市民運動はただ、何とかしてください式ではダメですね。

A 今回の子宮頸癌の予防ワクチンの件は、私個人としては当面の対応として、『子供手当』の一環として対処するのが良いと思います。お金が無いのなら「ひも付き子供手当」とすればよいのです。月1万3千円給付するなら、4カ月分を給付せずワクチン接種代に回すのもよいでしょう。この間に時間的余裕を貰って抜本的に予防接種法の法律改正まで視野に入れた専門家による見直しをすればよいと思っています。

Q当会としては効果がはっきりしているものはサッサとやるというスタンスで、禁煙運動に対しても積極的に政策提言しておりますが、今後もこのスタンスでゆこうと思います。

A 結構だと思います。当院も加盟している全国がん(成人病)センター協議会では昨年11月にがん登録の推進や禁煙対策について提言書を厚労省に提出しています。色々なところから声を出してコンセンサスを作り上げていくことが重要だと思います。


略歴
西尾 正道(にしお まさみち)

独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター院長。函館市出身。1974年札幌医科大学卒業後、国立札幌病院・北海道地方がんセンター放射線科勤務。1988年同科医長。2004年4月、機構改革により国立病院機構北海道がんセンターと改名後も同院に勤務し現在に至る。がんの放射線治療を通じて日本のがん医療の問題点を指摘し、改善するための医療を推進。
著書に『がん医療と放射線治療』2000年4月刊 (エムイー振興協会)、『がんの放射線治療』2000年11月刊(日本評論社)、『放射線治療医の本音-がん患者2万人と向き合って-』2002年6月刊( NHK出版)、『今、本当に受けたいがん治療』2009年5月刊 (エムイー振興協会)の他に放射線治療領域の専門著書・論文多数
Copyright © Citizen Oriented Medicine. All rights reserved.