市民のためのがん治療の会
市民のためのがん治療の会
副反応実態をよく知って判断を

『子宮頸がんワクチンの現状と問題点』


「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」
杉並区議会議員
曽根文子
「市民のためのがん治療の会」では発がん原因のわかっているものに対しては積極的に原因に対する対策を進めるキャンペーンを行い、政策提言も行って生きているし、これからもそのようにしてゆきたいと思っている。
その代用的なものが喫煙であり、禁煙キャンペーンについても特に毎年、国際禁煙デーの5月31日を中心に様々な運動に参加し、今年も間もなく「がん医療の今」にも関連寄稿を掲載予定である。
もう一つが子宮頸がんワクチンである。子宮頸がんの発生原因である人パピローマウイルスが発見され、それを予防するワクチンが開発され、海外でも盛んに接種が行われ始めたことに呼応して、国立市議会において「子宮頸がん撲滅のための施策を求める意見書」の採択にも努力するなど、日本における子宮頸がんワクチン接種についての政策提言等を行い、その普及に努力してきた。
http://www.com-info.org/medical.php?ima_20100506_nakagawa
しかし接種が始まってから3年近くになり、副反応についての問題が報道されるようになってきた。
そこで、子宮頸がんワクチン推進の立場の「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」と、副反応について問題点を指摘する「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」の双方からご寄稿をいただくこととした。
まずは先にご寄稿いただいた「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」の事務局で杉並区議会議員の曽根文子さんのご寄稿を掲載する。(會田昭一郎)
 この被害者連絡会ができるきっかけになったのは、2013年3月の杉並区議会で区内に子宮けいがんワクチンの重篤な副反応で1年以上学校に行けなくなっている被害者がいることが明らかになったことでした。

 被害者の女子中学生は2011年、2回目にワクチンサーバリックス接種直後に手足の痺れや痛みがひどく10日間入院し、その後も様々な症状、全身や頭の激しい痛みや痺れ、自分の名前が分からなくなる、数が1から10まで数えられない、睡眠時の行動障がい等に苦しみ、また治療法が分からず病院を転々としました。

 杉並区内で、そのように苦しんでいる被害者がいた2012年6月の議会で、私が子宮頸がんワクチンについての一般質問を行い、区内でワクチン接種による副反応被害は出ていないかと質問したところ、被害者宅を訪ねていた保健所長が「副反応被害の報告は無い」と答えていたことが被害者のお母様からの連絡で分かりました。この3月の議会でその事実を明らかにし、区は独自の補償制度を作って補償することを約束するということがありました。

 それが大きく新聞で取り上げられると、全国から被害者の声が届き、3月25日には「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」が発足することになり緊急記者会見を開きました。当会には被害者家族とともにそれを支える自治体議員や市民が賛同人として加わっています。これが報道されるとさらに会には現在まで全国から300本以上の被害者からの苦しい状況を訴える声が寄せられました。会では4月8日に厚生労働省に、これまでに届いている副反応報告の追跡調査、被害者への相談体制整備と救済措置、接種事業中止を求める嘆願書を提出し、再度記者会見を開きました。

 全国から寄せられる被害者の声からは、このワクチンによる副反応の症例は多岐に渡り、医師がこの薬の副反応の知識がないことから、副反応と認められず、厚生労働省に報告されていないものが多いことが分かります。ほとんどの方が治療法がわからず、病院をいくつも転々とし、様々な検査を繰り返し、最終的に原因が分からず精神的な問題だと精神科に行くように言われたいへん辛い思いを経験されています。

 子宮頸がんワクチンはこの4月から予防接種法の改正を受けて定期接種となりましたが、最終的に接種を受けるかどうかを判断するのは保護者と接種者です。賛同者の議員達は、自治体から接種対象者への副反応事例も含めた正しい情報提供、医療機関への副反応事例の情報提供と接種者への詳しい説明を求めることをそれぞれの自治体に求めています。

 GSK社の提供するワクチン、サーバリックスの添付文書には以下のような説明があります。


 効能・効果に関連する接種上の注意
(1) HPV-16型及び18型以外の癌原性HPV感染に起因する子宮頸癌及びその前駆病変の予防効果は確認されていない。
(2) 接種時に感染が成立しているHPVの排除及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防効果は期待できない。
(3) 本剤の接種は定期的な子宮頸癌検診の代わりとなるものではない。本剤接種に加え、子宮頸癌検診の受診やHPVへの曝露、性感染症に対し注意することが重要である。
(4) 本剤の予防効果の持続期間は確立していない。

 そして重大な副反応は以下のように説明があります。


(1) 重大な副反応
1) ショック、アナフィラキシー(頻度不明注1)):ショック又はアナフィラキシーを含むアレルギー反応、血管浮腫があらわれることがあるので、接種後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
2) 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(頻度不明注1)):急性散在性脳脊髄炎(ADEM)があらわれることがある。通常、接種後数日から2 週間程度で発熱、頭痛、痙攣、運動障害、意識障害等があらわれる。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
3) ギラン・バレー症候群(頻度不明注1)):ギラン・バレー症候群があらわれることがあるので、四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。


 MSD社のガーダシルは、重大な副反応で上記に加えて血小板減少性紫斑病が含まれています。会社の出すワクチンの説明書に、本剤の予防効果の期間は確立していない、とあり、アナフィラキシーショックのように命に関わるもの、急性散在性脳髄膜炎やギラン・バレー症候群、血小板減少紫斑病のように重大な副反応を起こすことがあると書かれていることを、接種する保護者と本人は摂取前に知らされるべきだと考えます。

 資料によると、サーバリックスの副反応報告件数は1681件でその内重篤は785件、10万人あたり28.7人。ガーダシルの副反応は245件、その内重篤は76件で重篤な副反応は10万人あたり11人となっています。日本における子宮頸がんによる死亡率は女性の人口10万人に対し1ケタであることを考えると副反応の出現率の方が高く、ワクチンとして許容される範囲を超えていると考えます。

 子宮頸がんは検診での発見率が非常に高く、早期に発見されれば適切な治療によりおおむね100%治癒し、その後出産も可能だとされています。
 日本の検診受診率は21%と低いことこそが問題です。男性医師による検診ではなく女性看護士が検診をするなどの工夫をして、検診率を向上させることが必要だと考えます。

 会としては以上述べたようなことから、市民の方々へは、HPVワクチンの副反応実態を知り、また製薬会社の出している薬剤の添付文書に書いてあることを良く読んで、この接種を受けるかどうかの判断をしてほしいと切に願います。


2013(平成25)年5月10日
文部科学省大臣 下村 博文 様
全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会
代表 松藤 美香
事務局長 池田 利恵


ワクチン接種副反応により義務教育を受けられないでいる生徒の状況についての調査要請書

  冠省 貴省におかれましては、教育、科学技術の発展、スポーツ振興等にご尽力をいただきましてありがとうございます。とりわけ、次世代を担う子どもたちの健やかな成長のために、日々奮闘していただきますことを心から感謝申し上げます。
 早速ですが、報道でも伝えられておりますように、中高生の女子生徒が、2009年12月に発売された「子宮頸がんワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)」を接種した後、重篤な副反応に苦しんでいる事例が千件以上報告されていることはご承知のところだと存じます。2013年から予防接種法の改正により、定期接種として自治体が接種主体となったことにより、自治体の議員や職員の間では、厚生労働省の接種の勧奨について、とまどいの声が強く上がっております。
 私どもは、2013年3月25日、そのような症例の生徒の保護者たちと、その方たちを支援する自治体議員を中心とした医師や研究者、市民団体などの協力を得て当会は発足いたしました。NHKをはじめ、他の報道機関、またネットメディア等に紹介されたところ、さらにぞくぞくと「うちの子も同様の症状です」との相談の声が寄せられ、日々電話の対応に忙殺されている状況です。
 しかし、電話相談を受ける中で、これらの症例をワクチン接種と関連づけていらっしゃる方は、まだまだ氷山の一角と思われます。ほぼすべての方々が、原因が分からないまま何人もの医者を転々とし、医療機関や在宅にて治療方法に悩みながらも、その症状の重篤さから学校に通えず、欠席を余儀なくされています。相談を受けた中には、一年以上の長期欠席をしたり、出席日数不足で転校を余儀なくされたお子さんさえいらっしゃいます。つまり、義務教育を受ける権利を阻害され、保護者にとっては義務教育を受けさせる義務すら果たせない状況に陥っているのです。
 ついては、さらなるケース発掘のため貴職において、下記の通り全国の教育委員会等に呼び掛けて、学校での子宮頸がんワクチンによる実態調査をしていただくよう要請します。

一、文部科学省において、全国の(いわゆる一条校に限定することなく)すべての小中学校および高校、専門学校、大学(以下「学校」と呼ぶ)において、短期および長期の欠席などを繰り返している女子児童生徒に対して、欠席行為の前(半年前後の期間)にHPV接種の事実があったか否かについて保護者に確認した上で、接種のあったすべての児童生徒に関して、その欠席の実態がどの程度あるのか、ただちに全国調査を行うこと。
二、文部科学省においては、全国の「学校」に教育委員会を通じて、または貴省直接のルートを通じ、厚生労働省が収集している被害報告事例などを利活用し、こうした副反応の実態があることを周知させる。なお教師や学校は、実態の多様性や未知の症例のあることを十分に自覚することによって、被害者への無理解な言動などで被害者の心的なダメージを強めることのないよう、注意喚起すること。
三、全国各地で、「学校」に通学できなくなった女子児童生徒に対する教育的な措置を徹底させる。体調が回復した場合、あるいは保護者の要請に基づき、闘病先で授業に遅れた場合の個別の補習、補講について、最大限の指導を行うように、教育委員会を通じて、または貴省から直接に学校現場に注意喚起するとともに、その指導遂行の制度の創設を検討すること。

以上

略歴
曽根 文子(そね ふみこ)

1991年 日本大学文理学部心理学科卒業
18年間アジアからの留学生を支援する団体にて留学生相談などを経験
2010年~杉並区議会議員 議会で子宮頸がんワクチンの問題に取り組む
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