市民のためのがん治療の会
市民のためのがん治療の会
医師の「セカンドオピニオン」についての意識調査

『医師が自身の患者から「セカンドオピニオン」を求められたら?』


メドピア株式会社
セカンドオピニオンはわが国のように国民皆保険ではなく、原則的に医療費を民間の医療保険が支払う米国において、患者 (被保険者) の治療にかかるコストを抑制する目的で考え出されたものといわれている。すなわち、医療費を支払う保険会社としては、より低い料金で治療することができる医療機関を選択する必要性から、現在患者がかかっている医療機関とは別の医師の治療方針に関する意見を聞き、費用対効果を比較対照する必要が生じる。
その後、このような経済的な要請を離れ、患者が自ら受ける治療法、治療後のQOLの維持なども自ら選択するために必要となる医学的知識を得るために、主治医以外の医師のアドバイスを受けるという意味での、セカンドオピニオンが活用されるようになった。

わが国では、専ら患者が自ら受ける治療法について、主治医以外の医師の意見を聞き、治療法を決定したり、治療施設等を選択したりするための有力な手段として理解されている。
当会は、創始者である會田が自らの舌がんを、セカンドオピニオンによって舌の切除をすることなく完治することができた経験からその重要性を痛感し、がんは最初が肝心、最初が全て、only one chance を合言葉に、セカンドオピニオンの重要性の普及啓発と斡旋を中心に活動を続け、既に約1400件のセカンドオピニオン情報提供を行ってきている。さらに当会の特徴として、治療部位が専門化している主として外科医師に対して、全身を横断的に診ている放射線腫瘍医によるセカンドオピニオンを取り入れていることで、当会のコア・コンピタンスとなっている。

セカンドオピニオンは最近では市民権を得て、誰でも考えるようになってきたとはいうものの、多くの医療施設があるところならいいが、過疎地などで、今、診察を受けているところ以外に医療施設が無いような地域では今以てそんなに簡単なものでもなく、また、医療機関が多い処でも、医師と患者といっても結局は人間同士の関係であり、セカンドオピニオンについて言い出せずに逡巡している患者も多いようだ。

今回は医師の3人に1人が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」(https://medpeer.jp)を運営するメドピア株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:石見 陽)が、会員医師を対象に行った「セカンドオピニオン」についてのアンケート調査結果について、掲載させていただいた。
なお、今回の調査ではがん以外の病気についての調査であるが、セカンドオピニオンについての大規模な調査であり、参考になると考え取りあげさせていただいた。ご協力に感謝いたします。
(會田 昭一郎)
【Q1】がん以外の病気において、患者さんから「他の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞きたい」と言われたことはありますか?また、その際にどう感じますか?

―「セカンドオピニオンを求められたことがある」医師は約6割
図1
―8割以上の医師は、セカンドオピニオンを求められても「不快に感じない」
図2
  • セカンドオピニオンを要望された経験の有無に関わらず、8割以上の医師は、セカンドオピニオンを求められても「不快に感じない」と回答した。「セカンドオピニオンは患者の当然の権利だと思う」、「本人が納得することが重要」というコメントが目立つ。また、「こちらから患者に勧めることもある」「むしろ他の医師の意見を知りたい」という意見も多かった。

  • 「不快に感じる」と回答した医師はわずか1~2割であった。「信頼されていないと感じる」というコメントが多かった一方、「患者側の言い方にもよる」「紹介状を書く手間がかかる」といった意見も見られた。
■回答コメント(一部を抜粋)

「言われたことがあるが、不快に感じない」  2,069件
  • 特に不快には感じません。むしろセカンドオピニオンを受けて納得いただければと思います。(30代、精神科)
  • 患者さんの権利と思います。(50代、一般内科)
  • 自分の診療・治療に自信を持っているので不快に感じず、他医へ紹介できる。(40代、泌尿器科)
  • あまり気にしないが、相手が自分を信頼していない上で言われた場合には、不快に思うかもしれない。(40代、リハビリテーション科)
  • 他の先生の意見も聞いて納得した上で治療を受けてもらいたい。(50代、循環器内科)
  • 時代の流れとして当然だと思います。喜んで他院を紹介します。(40代、一般外科)
  • 本当の意味におけるセカンドオピニオンであれば、不快に思わずに協力するべきであるが、ほとんどの患者がドクターショッピングをセカンドオピニオンだと勘違いしているところに問題がある。(50代、整形外科・スポーツ医学)
  • すすめることも多々あります。トラブルになることのほうが嫌です。(30代、脳神経外科)
  • 患者が医者を選ぶ時代でしょう。(50代、整形外科・スポーツ医学)

「言われたことがあり、不快に感じる」  298件
  • もちろん患者さんの気持ちを考えれば当然の権利と主張だとは思うが、自分が治療できる疾患であっても言われると、多少は不甲斐なく感じる。(30代、脳神経外科)
  • やはり一生懸命やっているのにという思いはあるけれど、自分も同じ患者の立場であったら、そうするかもしれない。(30代、一般内科)
  • わかる範囲で答えますが、別にかかっている主治医にききにくいからと質問するのではなく、病気や治療法については主治医にきちんときいてほしいです。外来の時間がかかってしまいます。(50代、一般内科)
  • 不安をぶつけるだけ、そういうセカンドを求められると主治医に聞きなさいと言いたい。でも一生懸命話しはする。(50代、一般外科)
  • セカンドオピニオンの後に、また戻ってくる患者さんもいますが、多くは他での治療を希望されているのでそれまでの苦労を思うと疲労感があります。(50代、循環器内科)

「言われたことはなく、言われても不快に感じないだろう」  1,332件
  • セカンドオピニオンを求めるのは患者の権利なので、別に何とも思わない。むしろ、自分以外の医者の意見は勉強になることが多い。(50代、呼吸器内科)
  • 当然の権利であり、そのように患者側も勉強することでより良い選択が出来るものと考えている。(50代、呼吸器外科)
  • 自分が患者なら、他の医師の意見も聞きたいでしょう。(50代、精神科)
  • 納得してもらえない時にこちらからすすめることもあります。(30代、皮膚科)
  • 医師ですら他科の領域になると門外漢であるし、一般人ならなおさら多くの意見を聞きたいだろうとは思う。(30代、病理)
  • インターネット上の情報が氾濫している時代ですので、様々な情報に患者さん側も触れています。あまりに荒唐無稽なことであれば止めるかもしれませんが、基本的には本人の選択だと思います。(30代、総合診療)
  • より客観的で多角的な診療が可能となるかもしれないので、個人的にはあまり否定的には思っていないです。ただ、自分の診療について不満な点があるかもしれないので、その点は確認できたらと思います。(40代、一般内科)
  • 言われ方にもよるとは思いますが、患者の立場になれば当然の要望なので。(40代、一般内科)

「言われたことがないが、言われたら不快に感じるだろう」  253件
  • これまでの診療内容を否定された気分になる。(40代、小児科)
  • 患者側の言い方にもよるとは思います。(40代、脳神経外科)
  • ちょっと不快に思うのが人情ですが、受け入れて次に生かします。(40代、産婦人科)
  • 患者さんとの信頼関係より、セカンドオピニオンを受ける医療機関への紹介状の作成に時間を取られることが不快に思います。(50代、眼科)
  • 患者家族の立場にたてば気持ちは十分理解できますが、言われれば自分が完全には信頼されていないことを実感するでしょう。(30代、救急医療科)

【Q2】患者さんから「セカンドオピニオンを求めたい」と告げられた場合、その後の患者さんとの信頼関係に影響があると思いますか?

―悪い影響があると思う医師は、1割のみ。
図3
  • 患者さんとの信頼関係に「影響はない」という回答が約8割を占めた。セカンドオピニオンは、「患者の権利」であり、「患者の納得が重要」であるため、求められれば対応するのが当然であるという考えが多いようだ。「求める患者の気持ちも分かる」、「自分であったら求める」という声も多い。

  • 「悪い影響があると思う」は約1割のみであった。「やはり本心では信用されていないと感じる」という声が多かった。また、「良い影響があると思う」と回答した医師も約1割いた。「信頼関係があるからこそ求められる」「患者の希望に応えることで信頼関係が深まる」という声があった。
■回答コメント(一部を抜粋)

「影響はない」  3,089件
  • 特にないと思います。今の時代、セカンドオピニオンは増えているので。(30代、神経内科)
  • いろんな意見を聞きたいと思うので気になりません。むしろ知らないうちにセカンドオピニオンに行かれていた方が残念です。(30代、救急医療科)
  • ご本人が納得されることが最も大切。(40代、一般内科)
  • 医師の立場では特に気になることはありませんが、セカンドオピニオンのために診察をした他の医師の意見は教えて欲しいと思っています。(40代、一般内科)
  • 自分の診療内容に自信を持っているのであればセカンドオピニオン後にも信頼関係には影響しないと思います。(50代、一般内科)
  • 信頼関係が保てていても、治療法の説明の仕方や選択肢は医師によっても色々あるので別の意見を聞きたいという心情はごく当たり前と思う。比較して戻ってこられることもあるとおもうので、特に信頼関係の問題だけではないと思う。(30代、呼吸器内科)
  • 患者さんの当然の権利であり自分が患者になったら不利益なく行使したいと思う。(50代、消化器内科)

「悪い影響があると思う」  416件
  • 影響しないようにしたいが、本音でいれば他院に通院して頂きたい。(40代、泌尿器科)
  • 当たり前すぎる場合は悪い影響あり。ドクターショッピング系や有名教授受診希望の患者など。(60代、一般内科)
  • セカンドオピニオンを求める場合多くは治療困難な場合が多く、医師の考え・意見はそれぞれです。別にセカンドオピニオンを受診すると、患者も申し訳なく思うのか、再来しなくなるケースが多いです。(40代、一般内科)
  • 患者さんの気持ちは分かりますし、自分も反省しなくてはいけない点があると思いますが、不快感はずっと残るでしょう。(50代、消化器外科)
  • 専門外であれば、問題はないが、十分な説明を何度も繰り返して行ったあとでのセカンドオピニオンは信頼されていないと感じてしまう。(50代、リウマチ科)

「良い影響があると思う」  408件
  • むしろ信用されているケースもあると思います。患者は主治医にセカンドオピニオンを頼みづらいと思うだろうけど、それでも言ってくれるのは信頼されている証拠ともとれます。(30代、循環器内科)
  • 適切な専門家に紹介をしてセカンドオピニオンが得られれば信頼関係が強化されると思う。(60代、消化器内科)
  • 患者の不安に親切にこたえてあげられたら、より一層信頼関係が増すと思う。(60代、整形外科・スポーツ医学)
  • むしろ勧めることが多いかもしれません。セカンドオピニオンを受けた後、大多数は帰ってきますので、面倒でも信頼関係を悪くすることはないでしょう。(60代、一般内科)
  • 今までのケースではセカンドオピニオン目的で他の医療機関を受診された後、より自分への信頼感が強くなり治療しやすくなることが多かったです。(40代、眼科)

■調査概要
調査期間 : 2015年2月19日(木) ~ 2015年2月25日(水)
有効回答 : 【Q1】3,952人/【Q2】3,913人(回答者はすべて、MedPeerに会員登録をする医師)
設  問 : 医師専用コミュニティサイト MedPeer内の「ポスティング調査」コーナーにおいて、MedPeer事務局(運営:メドピア株式会社)より、以下の質問を投げかけました。

【Q1】調査フォーム(設問文 抜粋)
皆さまが普段診療されている「がん以外」の病気で、患者さんから「他の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞きたい」と言われたことはありますか。また、そのようなときに、皆さまはどのように感じますか(不快に感じますか)?下記の選択肢の中からそのような場面でのご気分に近いと思われるものをお選びください。
  1. 言われたことがあり、不快に感じる
  2. 言われたことがあるが、不快に感じない
  3. 言われたことはないが、言われたら不快に感じるだろう
  4. 言われたことはなく、言われても不快に感じないだろう

【Q2】調査フォーム(設問文 抜粋)
がん以外の一般的な病気の診療で、患者さんから「セカンドオピニオンを求めたい」と告げられた場合、その後の患者さんとの信頼関係に影響があると思いますか? 下記の選択肢の中から皆さまのお考えに近いものをお選びください。
  1. 患者との信頼関係に悪い影響があると思う
  2. 患者との信頼関係に良い影響があると思う
  3. 患者との信頼関係に影響はない

【お問い合わせ先】
メドピア株式会社・広報担当 藤野 | 電話:03-6447-7961 | メール:pr@medpeer.co.jp

Copyright © Citizen Oriented Medicine. All rights reserved.