市民のためのがん治療の会
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遠隔医療と患者

『「遠隔医療は進むか?」について、医師の最多回答は「進むと思うが、自分は参画したくない」』
-MedPeer会員医師へのアンケート調査-』


メドピア株式会社
この度の熊本地震の大きな爪痕は、時が経つにつれて深刻度を増している。先般の東日本大震災以来5年間でこのような大きな地震災害に襲われた私たちは、改めて世界で最も火山、地震災害地帯に生活していることに慄然とせざるを得ない。さて、このような災害時に一番厳しい状況に置かれるのが、私たち患者や体の不自由な方々、特に入院中の方々であろう。
平常時の遠隔地などだけでなく、このような災害時にも遠隔医療は大きな力を発揮できる可能性があるのではなかろうか。
今回は医師へのアンケート調査ではあるが、患者や家族の立場からも遠隔医療について考える場合の参考となる結果が得られる。例えば「責任の所在が不明確」「見落とし」等、法整備なども含め多くの問題点が見られるが、反面、現在でも画像データ等の共有による遠隔医療も行われており、多くの医師が考えているように遠隔医療は進行すると予想される。

今回は医師10万人以上(国内医師の3人に1人)が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」(https://medpeer.jp)を運営するメドピア株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:石見 陽)が、会員医師を対象に、「遠隔医療は進むか」についてのアンケート調査結果を、同社のご厚意で転載させていただいた。患者側でもこの問題を考える参考に資すれば幸いである。
(會田 昭一郎)

■調査結果:「遠隔医療は進みますか?」

(回答者:MedPeer会員医師4,041人、調査期間:2016/3/16~2016/3/22)

(回答者:MedPeer会員医師4,041人、調査期間:2016/3/16~2016/3/22)
順位 回答 回答数(人) 占有率
1 進む(参画したいとは思わない) 2,056 50.9%
2 進む(参画したい) 1,495 37.0%
3 進まない 490 12.1%
  合計 4,041 100.0%

■勤務医・開業医別および年代別の結果

勤務医・開業医別および年代別の結果

■サマリー

「遠隔医療は進むか?」の質問に対し、4,041人の医師が回答をした。結果、「進む(参画したいとは思わない)」が50.9%で最も多く、次いで多かった「進む(参画したい)」の37.0%と合わせて計87.9%、約9割の医師が「遠隔医療は進む」と回答した。
また、遠隔医療が「進む(参画したい)」と答えた割合は、開業医よりも勤務医の方が大きく、年代別では年代が若いほど大きかった。

「進む(参画したいとは思わない)」(50.9%)の回答理由を見ると、全体では遠隔医療は進むと思うものの、自分自身で考えると、何かが起きたときの責任の所在やより多忙になることを懸念したり、やはり患者さんは自分で直接見て触れて診療を行いたい、という声が多く見られた。

「進む(参画したい)」(37.0%)の回答理由を見ると、過疎地など地方の医療や、医師の偏在への対策として遠隔医療に期待を寄せる声が多く、皮膚科や眼科、放射線科では既に遠隔診療が行われており、期待できるという声が多かった。

「進まない」(12.1%)と回答した医師は、一部の画像診断などでは進むかもしれないが、治療も含む医療となるとやはり直接患者を診ないと難しいという考えが多かった。

■回答コメント(一部を抜粋)

「進む(参画したいとは思わない)」    2,056件
  • 自分で直接触ったり聴いたりできない診療には抵抗がある。(50代、一般内科、勤務医)
  • 進むと思いますが、責任の所在を法的に整備しない限り、参画することは無いと思います。(50代、皮膚科、開業医)
  • 見落としのような過誤が発生した際の責任の所在など不明確な部分も多く、進むことは不可避であっても自分自身が参画したいとは思いません。(30代、一般内科、勤務医)
  • 医療相談レベルの診察(問診および受診指示のアドバイス、セカンドオピニオン)程度になりそうです。ネットである手軽さを売りにドクターショッピングするケースも多くなるのではないでしょうか?保険適応外で良いと思います。(40代、神経内科、勤務医)
  • 進むとは思いますが、今の多忙さを考えるとどのように関わって行くのか想像できません。(50代、男性、勤務医)
  • へたすると365日24時間待機状態になりかねない。(60代、放射線科、勤務医)
  • アメリカとちょっと違います。専門医制度と報酬は決まっていない。自由競争になれない。(50代、アレルギー科、開業医)

「進む(参画したい)」    1,495件
  • 医師の地域偏在を改善する一助として遠隔医療は有効だと思います。(50代、リウマチ科、勤務医)
  • 北海道の田舎や離島では、必要に迫られていました。必ず普及すると考えますし、参画していきたいと考えています。(50代、精神科、勤務医)
  • 分野によっては強力な武器になると思います。(30代、アレルギー科、勤務医)
  • 制度面の問題は多々あるでしょうが、高齢化や過疎化を考慮すると進めざるを得ないかと。(30代、神経内科、勤務医)
  • 皮膚科や眼科、放射線科画像などの共有で、診断をお願いしたりしており、実際に治療方針もいただいております。(50代、整形外科・スポーツ医学、開業医)
  • 在宅医療と専門医との意見交換にはまだまだ余地があると思います。(40代、一般内科、勤務医)
  • 今後進む余地がありあまっています。けれど患者さんに触れない感覚は怖いとも思います。(30代、循環器内科、開業医)

「進まない」    490件
  • 患者さん本人を診察、診断するのは遠隔では無理。遠隔医療と言っても画像診断、血液検査などに限ってのことだと思います。(60代、一般内科、勤務医)
  • 表情や声のトーンとか、家族とか総合的な判断が必要な科なので、進まないと思います。(40代、精神科、勤務医)
  • 病診連携としては進むと思いますが、治療としては限られると思います。(50代、一般内科、開業医)
  • 現在実施していますが、医師の側は他の業務に追われあまり積極的ではありません。(50代、一般内科、勤務医)
  • 実際システムは導入されましたが、宣伝の時しか使用していないのが現状です。(40代、一般外科、勤務医)
  • 人口は減り、過疎に向かうわけで、必要かどうかわかりません。(40代、一般外科、開業医)
  • 10年前大規模な遠隔医療計画に参加しましたが、中止させました。患者さんのニーズの把握違い、経済的問題、医師のクオリティなど問題がありすぎです。いつものように業者が儲かるだけで医者にはメリットありません。電話で十分です。健診等の画像診断だけは発展するでしょう。(50代、循環器内科、開業医)

【お問い合わせ先】
メドピア株式会社・広報担当 藤野 | 電話:03-6447-7961 | メール:pr@medpeer.co.jp
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